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夜を抱える人達の日向であって下さい。7

著・秋月十紅

 

ランチア・デルタ・インテグラーレ特有のアイドリングの音を聴きながらお留守番。

アッシュ系ブラウン地のチュニックワンピース、腰下には三段フリルとベルトが付いてカッコよくて可愛いく可憐な姿をしたボクを残して、えりこお姉さんは絆創膏をレストランの人に貰いに行ってくれている。

 ボクは、砂の音とブーツの底が固い地面を践みつける乾いた音を楽しむ様に外へ出た。

 擦りむいた右の膝とスカートの裾を気にしながら激走から逃れられた安堵から、湖の輝きや自然の煌めきに負けない精一杯の笑顔全開で「にこっ♡」と微笑みながらインテグラーレから飛び出すように。

……何だかちょっと見せ物になってますってば! 早く帰って来てください!

 幸い自分の住む地域から遠方なので知り合いに会う危険はないと思うけど。

万が一に備えて車のドアを鏡にして、レースのコサージュとフリルが付いたキャスケットを深く被り自分が女装しているのが変装だと自分で突っ込みながら万全を尽す。涙で汚れた眼鏡を綺麗に拭いてからケースにしまう。

さらさら長い蜂蜜色の髪に、ピンクの口紅。ほんのり化粧までしている。

「変装完璧っ」

満足げにキャスケットを叩き少し胸をはり気合いを入れえりこお姉さんが帰ってくるまで少し辺りを探検してみる事にした。

とりあえずエンジンを切ってから点在するビクトリアン様式の建物を見渡す。

それぞれ八角柱の塔があるのが一番の特徴で優美さ溢れる装飾が取付けてあり、上品な可愛さが演出されて森に溶け込むように建ててあった。

「何か、お姫さまの別荘みたいです……」

 そんな言葉が自然に口から出ていた。

「あらっ? 自分の事言ってるの? ふふっ」

「ち……違いますよ綾乃さん!」

ボクは、両目を閉じ精一杯否定した。怒りと恥ずかしさを込めて。

大人っぽく笑う貸衣裳[VESTIRE]ヴェスティーレの若い社長へ振り向く。

ボクのキャスケットに付いたコサージュを触りながら話しかけて来た。

綾乃さんはアルファロメオのドライブにあわせて、小振りなアルファロメオの蛇のヘアピンで髪を上品にとめてある。洋服は、胸の開いたライトブラウンのエレガントな袖なしカットソーにブラック系のフリルたっぷりのシフォンブラウスを少し崩し気味に着て、ブラックのロングスカートを履く。

ボクのかーさまと幼馴染で小さい頃からボクと遊んでくれている特別な人。

朗らかな雰囲気に抜群のプロポーション、突出された大きな胸がいつも目のやり場に困る。

 目線に大きなバストだから……です。

「あっ……ひなたん顔真っ赤にして! 綾乃! そのハレンチな胸隠しなさい!」

ビシッと綾乃さんのバストを射ぬく様に指を挿しながら絆創膏と湿らせたハンカチを持ってえりこお姉さんが戻ってきてくれた。

「ひなたを見守る会メンバーなんだから大きな胸に挟んで見守ろうとしただけなのにぃーふふっ」

楽しそうな表情で自分の頬を軽く触って甘えた声を出している。

悪戯を考えている時は(頬を触る)癖がある綾乃さん。

「バカは放っておいて、ひなた膝見せて」

「ふふっ……独占欲? ダーーー……えりこ足! 足!」

 ボクに見えない角度でえりこお姉さんが体罰を与えているのが想像できた。

大きな声を出して茶色の瞳を潤ませた綾乃さんは、ボクに助けを求めて見ている。

…………

「ん?」

 悪戯を考えている綾乃さんを一瞥してスルー。

そして、絆創膏を貼りやすくするため脚の力を弱める。

綾乃さんが(ちっ)と舌打ちするのが聞こえたけど屈んでいるえりこお姉さんの方に集中する。

「……すみません。お願いします」

「……いいのよ。もともと私のせいなんだから」

とびっきりの優しいお姉さん声が脚元から発せられる。

絆創膏をやわらかそうなくちびるに挟み、湿ったハンカチで患部を拭ってくれている。

「あっ……」

刺激に声が出る。

す…………少し染みます。

「……ははんひははい」

 多分、我慢しなさい? と言い終えてから、くちびるから絆創膏を手に取る。

「ひゃっ! ……くすぐったいよ」

ボクの下半身に、冷たい指と熱い吐息が太股と患部を襲う。

我慢できずにボクは声を出す。

「ダメ……我慢しなさい! オンナノコじゃないんでしょ?」

さらに熱い吐息と薄い布越しの刺激に襲われる。

ゆっくり触らないで!

早く動かしてよ!

「が……我慢できないよ! ……ッ痛いっっ! や……優しくしてよ! お願いします」

患部をゆっくり刺激され、声を震わせながら痛さで体を少し引く。

ボクは涙目で、ふわふわの甘い香りのするえりこお姉さんに訴えた。

「ダメ! ……もう少しだから♡」

 逃がさないようにお尻をつかんで最後までしようとする。

「んあっあぁぁあ……」

最後に患部をギュッっと摘まれ嬌声に似た声を出して果てる。

屈んだままのえりこお姉さんの太股の上に濡れたハンカチが被せられ、手に取っている絆創膏を片手で器用に剥いた。 

「はい。おしまい♡」

 摘まれた患部からの痺れる痛さに耐えるとうさぎのプリントされた可愛い絆創膏が貼られた。

お尻を触られたままなので、少し恥ずかしくなり目を逸らしたら何か頬を染めた綾乃さんと目が合った。ドキドキしているのに勘付かれたのか、頬に手をあてたまま笑顔でこちらを見て近づいてきた。

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