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夜を抱える人達の日向であって下さい。26

著/秋月十紅

  *

 

インテグラーレの細かな振動に体を預けながら、アウロラーレの前の交差点につかまっている。

前で止まっている車は、日産のフィガロ。薄い茶色のボディーにメッキパーツを多数取付けてあり綺麗に磨かれている。

幌は見えない。肌寒いのにオープン状態……

綾乃さんは一度事務所に帰り、「貸衣裳[Vestire]ヴェスティーレ」と書かれたバンは駐車場に置かれ、普段乗りの可愛い古い車に乗り換えて来た。

優雅にハンドルを握る綾乃さん。

対象に寒そうに唯ちゃんが隣に乗っている。

今しがた仕事を終えた唯ちゃんは、仕事の持ち帰りがあるのかゼロハリのバッグを持っている。

インテグラーレを運転するえりこお姉さんは格好良くて、後ろの芽美ちゃんは感動しっぱなしだし、なんだか本当に仲間が増えた感じで楽しい。

「……で何処へ食事に連れて行ってくれるんですか?」

 芽美ちゃんは、南向きに走っている車内でバケットシートを掴みながら子供みたいに聞いてくる。

「芽美ちゃんがいるからプリオ……がいいかも」

「じゃあ綾乃さんと唯ちゃんに電話しますね」

〈クォォォン〉

開けると同時に綾乃さんのセットした音が鳴り後ろで「アルファロメオV6ですわね」と聞こえた。

「……お疲れ様です。唯ちゃん」

『とんでもございません。ひなちゃん。えりこに心配かけたんだって? ダメだよ。ハサミ持った人心配させたら……』

「あはは……心配かけちゃいました。ごめんなさい」

(商売道具片手の登場は流石にびっくりでした)とは答えられず真面目に答えた。

「……それで今日はプリオに行きましょう。と綾乃さんに伝えてください」

『綾のん……プリオ行きたいって……いい? ……プリコに決まり〜こっちからプリオに連絡しておくから……じゃあね〜ひなちゃん』

「はい。お願いします。はぁ〜い。……」

〈クォォォン〉

縦ロールが肩に擦れ、目を輝かせて興奮気味に芽美ちゃんが言ってくる。

「こ……この音は、どうやって設定しますの?」

「ん? これはですね……」

 順序立ててわかりやすく説明していく。

「……ふん」

 えりこお姉さんの微かな声を聞いたけど説明がなかなか伝わらない芽美ちゃんに対して答えていると後でまた聞こうと思い埋もれていった。 

 


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